
可愛らしい子猫をお家に迎えた後には、愛猫と飼い主が、元気に楽しく暮らせるようにさまざまなことに気を配ると思います。
ワクチンに、体にいいご飯、そして脱走防止策など。
そのうちの一つにオス猫の去勢手術もあるのではないでしょうか。
「室内飼いだけど必要」「1匹だからしなくてもいいのでは」など、麻酔の危険やオス猫の大事なものを取ってしまうことに迷ってしまうこともあるかも知れません。
しかし、去勢手術をすることは、オス猫のストレスを減らし、結果、長生きすることができます。
実際に私も昔はオス猫に去勢手術をしていなくてさかりの度に外にいってしまい帰ってこなくなってしまったという悲しい思いをしたことがあります。
そんな悲しい思いをしないためにも、今回は去勢手術をすることのメリットと、知っておきたいことをご紹介していこうと思います。
この記事の目次
オス猫の去勢手術とは?
去勢手術はいつ頃するの
オス猫の場合個体差はありますが、大体生後6か月位から性的に成熟し、早ければ7か月位から、相手を探し始めます。
そのため、6か月前後までに去勢手術を行うのが望ましいと考えられます。
手術自体は3か月位から行うことができますが、ワクチン接種時期や、健康状態なども考えて行うので、かかりつけの動物病院に時期を相談して決めるのが良いでしょう。
これは睾丸が陰嚢まで降りてきていない状態で、停留睾丸(ていりゅうこうがん)と呼ばれます。
遅くとも生後8ヶ月前後までに降りていない場合は、その後も降りる可能性が低いと考えられています。
去勢手術って何をするの?
オス猫の去勢手術では、精巣を摘出する手術です。
一般的には全身麻酔後に精巣付近を切開し、そこから精巣を摘出して、止血・縫合を行って終了です。
病院によっては、縫合をしないやり方で行う場合もあります。
メス猫の避妊手術に比べ、時間にすると15分ぐらいで手術時間が短く、開腹もしないため日帰りでの手術ですむ場合が多いのですが、病院の方針や、猫の状態によっては入院することもあります。
こちらも事前に動物病院の先生に確認しておくと安心でしょう。
去勢後は精巣部(タマタマ)が、ひと目で去勢後だとわかるほど小さくなります。
去勢手術にかかる費用は?
気になる手術費用ですが、実は一律ではなく、動物病院によって幅があります。
これは、手術の内容や方法のほか、術前の検査や入院の有無など、その猫によっても違いがでるためです。
一般的な「精巣摘出」の費用は、平均では7000円~15000円とメス猫の避妊手術より安く手術を行うことができます。
ただし、これは手術費用のみの平均なので、入院料や投薬など別途かかります。
手術前に行われる、「術前検査」にも別途費用がかかりますので、事前に全体で必要な費用を、病院で確認しておくことをおすすめします。
また、住んでいる自治体によっては、飼い猫でも去勢手術に助成金を支給している場合があります。
それぞれ条件や申請手続きが変わるため、お住いの自治体に確認してみるといいのではないでしょうか。
去勢手術のメリット
では、去勢手術のメリットについて解説をします。
- 性的欲求のストレスから解放される
- 問題行動が少なくなる
- 病気の予防
性的欲求のストレスから解放される
オス猫は生後6か月~12か月くらいで、性成熟を迎えるのが一般的です。
メス猫は1年の中で2、3度の発情期をむかえますが、オス猫には決まった発情期はなく、性的に成熟した状態で発情期のメス猫と 出会えば、いつでも交尾が可能です。
オス猫は性的欲求が高まると、大きな声で鳴くだけでなく、独特の強烈な匂いを放つ尿を立ったまま、あちこちにかける「スプレー行動」をするようになります。
そのような行動を行っても、メス猫に出会えない状況では、大きなストレスとなります。
去勢手術をすることで性的欲求はなくなるので、どんなに頑張っても果たすことのできない性的欲求から解放されるので、猫のストレスは大きく軽減されることでしょう。
問題行動が少なくなる
去勢手術を行うことで、オスとしての攻撃性がやわらぎ、穏やかな性格になることがあります。
また、お外に出している猫の場合は、縄張りを広げようと遠くまで移動しなくなるので、交通事故に遭うリスクを軽減することになるとも言われています。
また猫同士のケンカも少なくなるので、ケガによる病気感染リスクも軽減することにつながるでしょう。
加えて、よそのお家でスプレー行為をおこなったり、大きい声で鳴いたりなどで迷惑をかけることもなくなります。
何より、お外で出会ったメス猫の望まない妊娠を防ぐことにつながります。
飼い主の知らない所で、生まれた子猫が殺処分になる可能性は低くないのです。
病気の予防
去勢手術をおこなうことで、いくつかの病気に予防効果があります。
例えば「精巣腫瘍」や前立腺に関わる病気の発生率を低下させるなどです。
また、ケンカが少なくなるため、猫エイズなどの感染症リスクが低下します。
オス猫の去勢の場合はメス猫の避妊よりも、病気の予防メリットは多くはありませんが、ケンカによるケガの軽減に関するメリットは多いと考えられます。
【猫エイズとは】
「猫免疫不全ウイルス」と呼ばれるエイズウイルスに感染することによって免疫力が低下します。しかしそのウイルスを持っているだけで症状が出ないこともあり、ストレスや体調に注意していればまったく発症しないこともあります。
長い時はそのまま症状が出ずに10年を超える場合もあるため、猫エイズを発症せずに天寿をまっとうする猫ちゃんも少なくありません。
去勢手術のデメリット
去勢手術にはデメリットもあります。解説をしますね。
肥満になりやすくなる
これはメス猫の去勢手術でも同様ですが、精巣を取ることでホルモンが変化し、そもそもの食欲が増進するだけでなく、代謝が低下するため太りやすくなります。
また、去勢したことによって発情時に使用するエネルギー消費も減るため同じ量のごはんでも、肥満につながるので注意が必要です。
遊びなどで運動を増やすことや、避妊手術後用の低カロリー食なども市販されているので、工夫して食事を与えることで適正体重を保つことができます。
手術と麻酔のリスク
手術は全身麻酔で行うため、不安を感じる方もいるかもしれません。
ですが、去勢手術はどの動物病院でも日常的に行われており、手術時間は15分ほど、麻酔がかかる時間も大体30分程のため、
リスクは小さいと考えられます。
もちろんリスクはゼロではありませんが、今後のさまざまなリスクを考えると去勢手術を行うメリットが上回るのではないでしょうか。
まとめ
去勢手術に関するメリットや知っておきたいことをご紹介しました。
- 性的欲求のストレスから解放される
- 問題行動が少なくなる
- 病気の予防
肥満になりやすくなる(ご飯の量や運動で対処をする)
手術と麻酔のリスク(リスクは少なめ)
ですが、お外に出す場合のリスク軽減はもちろん、室内飼いでの性的欲求ストレスなどを考え、猫にとって幸せな選択をするのも、飼い主の責任ではないでしょうか。
また、無計画に生まれた子猫が捨てられ、殺処分される現実もあります。
ぜひ猫を家族に迎えたときには、去勢手術を検討してみて下さいね。