
私が小さいころは、猫を外に出すのは当たり前でした。
外から、ノミダニを連れてきて、真っ黒になって帰ってきてました(笑)
しかし今は、猫の室内飼いは当たり前です。
保護猫団体の譲渡条件にも室内飼いは必須。
そしてもう1つ必ず譲渡条件にあげられるのが、ワクチンを接種することです。
猫のワクチンには3種、4種、5種、7種などがあります。
そしてワクチン接種には費用がかかります。
もちろんワクチンなので副反応がでることも。
この記事では室内飼いでもワクチンが必要の理由と、ワクチンの種類について解説をします。
室内飼いでもワクチンは必要なの?
「うちの猫は室内飼いだし、ワクチンはしなくてもいいんじゃない」、と思っている人もいると思います。
しかし猫は外に出さなくてもいろいろな感染源があります。
- 空気感染
- 飼い主さんから感染
- 母子感染
空気感染
猫のウイルスが含まれている唾液や排泄物が乾燥してしまい、外の風が原因で室内に入り込んだりする事があります。
家の周辺に野良猫が多い場合、庭やベランダなどにウイルスを持った猫がいる可能性が高く、自身が飼っている猫がウイルスにかかる事もあります。
飼い主から感染する
人間の風邪が猫にうつる事はないですが、飼い主の靴や服がウイルスが含まれている唾液や排泄物に触れた場合、室内に持ち込んでしまう事があるので注意が必要です。
また、飼い主さんが外にいる猫を触って菌を持ち込み感染することもあります。
- 外から帰ってきたら、消毒、手洗いをしてから愛猫と触れ合う
- 猫とキスをしない
- 口移しで食事を与えない
母子からの感染
母猫がウイルスにかかっていた場合は、母乳を通して感染してしまう可能性があります。
母猫が感染している間は、母猫と子猫を離し、母乳を飲ませず飼い主さんがミルクを作り与えるなどの対策が必要です。
飼い主さんにできること
ワクチンを接種する以外にも飼い主さんが気を付けるだけで病気のリスクは下がります。
- 過剰な触れあいを控える
- 手洗いをまめに行う
- 猫の体と飼育環境を清潔に保つ
- 排泄物を速やかにかつ適切に処理する
- 口移しやねこ吸いをしない
猫との過度な触れ合いはやめましょう。
ワクチンの種類
猫のほとんどの感染症は、猫の血液、唾液、排泄物に触れてしまう事で感染します。
室内で猫を飼っているという場合は、そういったリスクは下がりますが、室内飼いだから絶対にかからないという事はありません。
そこでワクチンの接種が必要になってきます。
ワクチンとは
ワクチンとは本来備わっている免疫機構を利用した感染症対策方法です。
【免疫機構とは】
外部からの異物の侵入に対して生体が応答し,再度その異物が侵入した場合にその害から逃れるために生体が備えている機構の総称.
ワクチンは、そのワクチンが予防対象としている感染症の数で、単味ワクチンと混合ワクチンと分類されます。
また、ワクチンの使用する病原体の処理方法によって、生ワクチンと不活性ワクチンに分類できます。
単味ワクチンと混合ワクチン
ワクチンには、1種類の病原体のみで作成された単味ワクチンと複数の病原体を混合して作った混合ワクチンがあります。
猫のワクチンは混合ワクチンのみです。
猫のワクチンには予防できる病気の数から3種、4種、5種、7種と多くの組み合わせがあります。
コアワクチンとノンコアワクチン
『コアワクチン』は、多くの猫が接種するべきと考えられているワクチンで『ノンコアワクチン』は任意で接種するものになります。
- 猫のコアワクチン・・・猫カリシウイルス・猫ヘルペスウイルス(猫ウイルス性鼻気管炎)・猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症/猫伝染性腸炎)
- 猫のノンコアワクチン・・・クラミジア症・白血病・免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
『コアワクチン』は感染リスクが高い病気に対するワクチンになるので接種が推奨されています。
生ワクチンと不活性ワクチン
ワクチンには、病原体の一部(抗原)が含まれています。
その抗原を標的に体内に抗体が産生され含まれる病原体の病原性を弱めて接種しても発症したり重症化しないように調整されたものが生ワクチン、活性を完全になくしたものを不活性ワクチンといいます。
毒性が薄められたウイルスや細菌が体内で増殖し、それに対して反応し免疫を高めていくので回数が少なくてすみます。
十分な免疫ができるまでは1か月ほどかかります。
fa-eyedropper不活性ワクチン・・・猫白血病・免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
fa-eyedropper生ワクチンと不活性ワクチン両方・・・猫カリシウイルス・猫ヘルペスウイルス(猫ウイルス性鼻気管炎)・猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症/猫伝染性腸炎)・猫クラミジア感染症
コアワクチン | ノンコアワクチン | |
生ワクチン |
| 猫クラミジア感染症 |
不活性ワクチン |
|
|
どのワクチンの種類を接種すればいい?
室内飼いの猫なら3種ワクチンで問題ないと思います。
3種ワクチンとは、猫カリシウイルス(1種類)猫ヘルペスウイルス(猫ウイルス性鼻気管炎)猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症/猫伝染性腸炎)
特定の病気に感染する可能性や飼育環境によって追加でその他のワクチンも追加してください。
気になる方はぜひ、獣医さんに相談してみてくださいね。
猫のワクチンの種類
[4種] 3種+猫白血病ウイルス感染症
[5種] 4種+クラミジア感染症
[7種] 5種+猫カリシウイルス(2種類)
すべて恐ろしい病気です。命にかかわる病気もあります。
接種したほうがいい病気について解説しますね。
ネコ汎白血球減少症(猫伝染性腸炎)
3種のワクチンの病気の中でもっとも恐ろしい病気です。
ネコパルボウイルスが主な原因の病気になります。
感染力が強いため、子猫が感染すると重症化してしまう可能性が高いです。
主な症状は、食欲がなくなる、激しい嘔吐や下痢、血便、白血球減少症などで、最悪の場合、命の危険があると言われています。
ネコカリシウイルス感染症(FCV)
この感染症は、様々な型があるため、1つの型に感染していたとしても、他の型に感染する可能性があります。
症状もそれぞれ違い、肺炎を起こしたり、口の中に腫瘍ができたりします。
腸で感染してしまうと症状がない場合もありますので注意が必要です。
fa-commenting-o口内炎や歯肉炎の猫の病変部から猫カリシウイルスが出ることもあり、関連性が疑われています。
猫ウイルス性鼻気管炎
ネコヘルペスが主な原因の病気です。
感染すると2~4日間の潜伏期間のあと、40度前後の発熱、くしゃみ、よだれ、目やに、鼻汁などがみられるようになり、鼻汁で鼻がつまり、口を開けて呼吸するようにもなります
特に子猫の場合は体力がなく肺炎を起こし死に至ることもあります。
猫白血病ウイルス感染症
猫白血病ウイルス感染症を防ぐための単体ワクチンです。
感染した猫に咬まれたり、舐められたり、食器やトイレの共有でも感染します。
この病気にかかると発熱、食欲不振や体重減少、下痢、貧血、口内炎、リンパ腫などの症状が出ます。
この病気は感染すると残念ながら治療法はなく、数か月から数年でなくなることが多いです。
猫クラミジア感染症
結膜炎、くしゃみ、涙目などの症状があり黄色い膿がでてきて目がカピカピになり目が開かなくなることがあります。
これが酷くなると失明したり、眼球摘出となることもあります。
まれにですが進行してしまうと咳の症状がでてくるため、その咳が原因で肺炎になってしまう危険性があります。
まれに猫から人へ感染する事があると言われています。
猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
人間が発症するHIV感染症に似ていますが、人間に感染したりはしません。
発症してしまうと免疫不全を起こしてしまうため、下痢、口内炎、発熱などの症状がありますが、かかっていても様々な症状がでない猫も多いです。
かかったら、すぐに命の危機があるという事ではありません。
発症をせずに天寿を全うする子も多々います。
参考
1か月以上が好ましいです。
もちろん動物病院にいってウイルス検査をしワクチンを接種してくださいね。
ワクチンの副反応
基本的に猫のワクチンは、ワクチンを打って一時的に少し感染させる事で免疫をつけるため、体調が悪くなったりする猫もいます。
元気がなくなった、食欲がなくなったという副作用があった猫が多いです。
[ワクチン接種後の副反応 内訳]
・元気がない、食欲が無い ……117例
・発熱 ……66例
・アナフィラキシー ……1例
私がおばあさんから頼まれて手術をした子は2~3日調子が悪く嘔吐していたそうです。
そのあとは元気になったのでよかったです。
ワクチンの費用
気になるのがワクチンの費用です。1年に1回とはでも気になりますよね。
ワクチンにも様々な種類があるので一概には言えませんが、3種混合ワクチンで3000円から5000円くらいで、5種混合ワクチンで5000円から7500円くらいです。
動物病院によって金額が異なる場合があります。
子猫の時は、生後2か月から3ヶ月くらいで第1回目、その1ヶ月後に第2回目を打ち、成猫になると年に1回打つと良いです。
ただワクチンで思い副反応が出る子などは、抗体検査をして、抗体がなくなればワクチンを接種するという事もできます。
是非、獣医さんに相談してみてくださいね。
猫から人へ感染する主な病気
猫ひっかき病
猫に引っかかれた事が原因で感染する病気です。
皮膚が赤くなったりします。
重症化してしまうと熱が出たり脳炎になってしまう事もあります。
実は私の母が、興奮した猫に噛まれて腕が腫れて1か月ぐらい病院通いをしたことがありました。
トキソプラズマ症
この感染症は特に妊婦さんに気を付けてほしい感染症です。
トキソプラズマ(原虫)に感染している猫の糞から人に感染したりします。
妊娠中の女性が感染する『先天性トキソプラズマ症』は流産や死産、子供に精神遅延、視力障がい、脳性まひなどの重篤な症状になることがあります。
真菌性感染症
簡単に言うとカビ(糸状菌)が原因で猫から人に感染したりします。
接触してしまうと感染してしまう可能性が高いです。
感染してしまう事で皮膚炎になってしまうため、大人だけでなくお子さんも注意が必要です。
症状は皮膚に円形の城っぽい輪ができ小さい水疱や赤み、脱毛、痒みを伴います。
まとめ
今回は、室内飼いでもワクチンが必要の理由と、ワクチンの種類について解説をしてきました。
[4種] 3種+猫白血病ウイルス感染症
[5種] 4種+クラミジア感染症
[7種] 5種+猫カリシウイルス(2種類)
室内飼いの猫なら3種で大丈夫です。
環境によって心配な時は獣医さんに相談をしてくださいね。
副反応がでたりするならワクチンを接種したくないという飼い主さんもいるかもしれません。
しかしワクチンを接種しないと、重い症状の感染症にかかってしまい、命の危機があったり、愛猫を苦しめてしまいます。