
フワフワの子猫や、甘えん坊の保護猫など、可愛らしい猫たちと暮らしていこうと決めて新しい家族としてお迎えする方は、終生愛情をもって育てて行く決心をしていると思います。
飼い主に出来る予防としては予防接種や、健康診断の他に、メス猫なら避妊手術があります。
「そこまでしなくても室内飼いだから」と思われる方も多いかも知れません。
麻酔を打って手術をするなんてかわいそうと思うかもしれません。
しかし、避妊手術は子供を産まないようするだけではなく病気の予防にもなるんです。
メス猫の場合避妊手術を産まれたから1年以内にすることによって避妊手術による乳がん発症予防効果は約90%とかなり有効です。
そして発情期は猫にとって心身的に大きな負担を与えます。
それでもやっぱり不安ですよね。
今回は避妊手術について詳しく知りたい人のためにメリットとデメリットについて、紹介していきます。
この記事の目次
避妊手術とは?
避妊手術はいつ頃するの
一般的には最初の発情期を迎えるまえに行うのが良いとされています。
発情期を迎えるのには個体差がありますが、大体7か月~12か月の間、早ければ5か月頃から始まる場合もあるようです。
そのため、体が成長していれば6~8か月の間に実施することが、多いようです。
もちろん発情期を経験したあとでも、避妊手術はできます。
ただし、発情期中や別の病気の治療中は手術のリスクがあがるためこれらの時期をさけて、手術を行う方が望ましいです。
病院の先生とよく相談して決めるのが良いでしょう。
避妊手術って何をするの?
メス猫の左右の卵巣と子宮を摘出する手術です(場合によっては卵巣のみ摘出する場合もあります)
卵巣を摘出するため、性ホルモンの分泌がとまり、発情しなくなります。
手術は全身麻酔で開腹手術(お腹を開けて摘出)が一般的ですが、腹腔鏡手術(お腹に器具を入れて摘出)を行う病院も増えてきています。
それぞれ病院や、猫の状態によって違いますので、事前にかかりつけの動物病院で、相談して納得しておこなうことをおすすめします。
手術の時間は麻酔を含めて1時間~2時間かかります。
避妊手術にかかる費用は?
気になる手術費用ですが、実は一律ではなく、動物病院によって幅があります。
これは、手術の内容や方法のほか、術前の検査や入院の有無など、その猫によっても違いがでるためです。
一般的な「卵巣子宮摘出」の費用は、平均では15000円~35000円の間ですが、これは手術費用のみの平均なので、入院料や投薬など別途かかります。
事前に全体で必要な費用を、病院で確認しておくことをおすすめします。
また、住んでいる自治体によっては、飼い猫でも避妊手術に助成金を支給している場合があります。
それぞれ条件や申請手続きが変わるため、お住いの自治体に確認してみるとよいでしょう。
避妊手術のメリット
避妊手術をするのは、不安もあるし、費用もかかります。
しかし、猫ちゃんのためには、手術をするのは大切なことなのです。
メリットを紹介していきますね。
メリット
(2)発情期のストレスを抑える
(3)病気の予防
予定外の妊娠を回避する
猫をお外に出して飼育している家庭ではもちろん、室内飼いであってもお外に逃げ出す、他の猫が侵入するなど突発的な出来事で 妊娠してしまう可能性があります。
猫が交尾をした場合は、その刺激で排卵するため一度の交尾でも妊娠する可能性が高いのです(ほぼ100%)
避妊手術をしておけば、万一の時も予定外の妊娠を回避できます。
発情期のストレスを抑える
メス猫の発情期は個体差があるものの、春から夏にかけて年に2,3回あります。
この時にお外に出れば、妊娠の可能性が高くなり、また室内飼いでは交尾に至らないため、発情自体が猫のストレスとなります。
避妊手術を行うことで、発情が起きなくなるため、ストレスは抑えられます。
発情期の症状
- 朝晩ところかまわず大きな声で鳴く
- お腹を床に押し付けて下半身を持ち上げる姿勢をとる
- 体を家具などにこすりつけて自分のにおいをつける
- 外に出て行こうとする
- トイレいがいのところでマーキングをするようになる
- 食欲がなくなる
- 陰部を頻繁に舐める
このような症状から解放されます。
病気の予防
メス猫は避妊手術をすることで、予防できる病気が多くあります。
例えば乳腺腫瘍は、猫の場合、ほとんどが悪性で、死につながる病気ですが、最初の発情前に避妊手術を行った場合、かなりの確率で予防できるというデータもあります。
これは発情することで分泌されるホルモンが、出なくなるためと考えられています。
他にも子宮を摘出することによって、卵巣・子宮の病気を予防することができます
- 子宮蓄膿症:子宮に膿がたまり腹膜炎になると死に至る確率がある病気
- 卵巣腫瘍:卵巣がん
- 卵巣嚢腫(のうしゅ):卵巣の細胞の過形成
避妊手術のデメリット
もちろんデメリットもあります。
解説をしますね。
(2)手術と麻酔のリスク
太りやすくなる
卵巣や子宮の摘出を行うことで、ホルモンバランスが変わり代謝が落ちることや、発情行動でのエネルギー消費がなくなるなどの理由で、太りやすくなるようです。
遊びなどで運動を増やすことや、避妊手術後用の低カロリー食なども市販されているので、工夫して食事を与えることで適正体重を保つことができます。
|
|
手術と麻酔のリスク
手術は全身麻酔で行うため、不安を感じる方もいるかもしれません。
ですが、避妊手術はどの動物病院でも日常的に行われており、麻酔がかかっている時間も、大体30~1時間くらいと短いため、 リスクは小さいと考えられます。
もちろんリスクはゼロではありませんが、今後の病気リスクを考えると避妊手術を行うメリットが上回ります。
できれば術前検査をしてから手術を受けることをおすすめします。
術後気をつけること
- 激しい運動や遊びをさせたり、興奮するようなことをしない
- 飲食は様子をみながら少しずつあたえましょう
- 抜糸が終わるまでシャンプーをしないでください。
- 傷を舐めさせないようにしましょう。(化膿してしまう事があります)
エリザベスカラーや術後服をみにつけることをおすすめします。
|
避妊手術豆知識
「TNR」という取り組みをご存じでしょうか。
現在、年間2万7千頭もの野良猫や外猫が殺処分となっています。
しかも、その内半数以上は生まれたばかりの乳飲み子です。
生まれてすぐに殺処分されてしまう命を、なくすための活動として行われています。
「T=TRAP(捕まえる)」「N=NEUTER(不妊手術する)」「R=RETURN(戻す)」
これらの頭文字からTNR活動と呼ばれます。
また手術後、地域に戻し「地域猫」となった際に判別ができるように、手術時に猫の耳をV字形にカットすることから「さくら猫」とも呼ばれています。
さまざまな意見はありますが、行政や保護団体での取り組みや、活動に対する支援も増えています。
お外で「さくら耳」の猫を見かけたら、思い出してみて下さいね。
まとめ
今回は、猫の避妊手術のメリットデメリットを解説してきました。
- 予定外の妊娠を回避する
- 発情期のストレスを抑える
- 病気の予防
- 太りやすくなる
- 手術と麻酔のリスク
可愛い盛りに、手術をするのは胸が痛むという声もありますが、その先の10年20年を考えると、避妊手術を行うメリットは大きいといえます。
もし、子猫が生まれても育てるのが難しい状況ならば、避妊手術を行い、今飼っている猫を最後まで、愛情を持って育てるのも飼い主の責任といえるのではないでしょうか。
ぜひ猫を家族に迎えるときには避妊手術を検討してみて下さいね